もすもすスープの暮らし

記述には時差があります。ゆるくイタリア語を学習しています。

ダン・ブラウン「インフェルノ」読了

ダン・ブラウンの「インフェルノ」上・中・下。

本を読むのに「今更ながら」ということもないのだが、シリーズの次作(「オリジン」上・中・下)が既に1年近く前に出ているというこのタイミングで、ようやく読むことができた。

上巻を読んでいるあたりでは、筋があまりにも単純なように感じ、かつ、あと2巻もあるのに、どうやって話を引っ張るのだろうと、いらぬ心配をしてしまったのだが、本当にいらぬ心配だった。

後半、誰がどの組織の人物なのかだんだん混乱してきて、ページをもどって確認したほうがいいと思いつつ、先を知りたい気持ちがまさって、そのまま読み切ってしまった。

今回のテーマは「人口爆発」。物語が教えてくれるまでもなく、現代文明が直面する進行形の大ピンチなのだが、読書中も読後も、あまり切迫感をもって、このテーマについて考えられなかったのは、日本が人口爆発どころか人口減少のピンチに陥っているからだろう。わたしだけでなくおそらく大多数の人が、自己中であり、ほとんど目の前のことしか考えていない。そうして問題はいつまでも解決されず、進行していくというわけだ。どんな問題にしても。物語中の科学者が憤るのも無理ない。

ダン・ブラウンのおもしろさは、歴史的な芸術作品や世界遺産的な建築物などが次々と登場し、現代的なテーマの謎解きと絡んで、絢爛豪華な絵巻物のようになっているところだろう。数々の薀蓄に接するたびに、かくされた秘密を知ったような、たいそうな気分になってしまう。

ハリスツイードロゴマーク「13個のボタン状の宝石で飾られたマルタ十字をいただいた伝統的宝珠マーク」という記述は、思わず読みながらメモをとってしまった。

日本にも、こういう歴史と文化をうまく融合させたエンターテインメント小説があればいいのに、と思う。古い寺や神社にしろ、仏像にしろ、日本美術にしろ、ほとんど何も知らない。自分の国の文化なのにあまりにも知らな過ぎて、それが謎なぐらいだ。京都や奈良に行っても「ただ巡っているだけ」になっているのが、我ながらもったいないと思う。