もすもすスープの暮らし

記述には時差があります。ゆるくイタリア語を学習しています。

ヴァージニア・ユウワー・ウルフ ”The Mozart Season" 読了 ♪

ヴァージニア・ユウワー・ウルフ(「ダロウェイ夫人」とかで有名なイギリスの作家・ヴァージニア・ウルフとは違う)は、日本では「レモネードを作ろう」が出ています。思春期の女の子の揺れる心の動きを描かせたら、ピカイチ!という感じの作家です。

 わたしは、この「レモネードを作ろう」を最初に図書館で見つけて読んでとても、「じーん」としたので、そのあと彼女の作品を探して(翻訳されたものがなかったので)「レモネードを作ろう(Make Lemonade)」の続編にあたる "True Beliver"と "This Full House" 、それから、まったく別の物語である、"The Mozart Season" をペーパーバックで読みました。どれも、女の子の繊細な気持ちを切り取った、とてもすてきな物語です。

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 "The Mozart Season" は、ヴァイオリンコンクールのファイナルに出場することになった、12歳の少女のひと夏の物語です。その簡単なプロットだけでも魅力的なのですが、登場する人物が(死人も含め)みんな個性的で、それぞれ背後に物語を抱えていて、お話を重層的にしています。音楽コンクールものといっても、派手な話ではありません。淡々とした、静かで、個人的な物語です。

 少女が始終練習しているモーツァルトのコンチェルト(4番)以外にも、いろいろな曲が出てきて(どの曲もナイス!)、物語の進行中つねに音楽が響いている感じです。

特に終盤のほうに、イザークパールマンの奥さんが妊娠したときに、アンドレ・プレヴィンが、「生まれてくる赤ちゃんのために」作った、という静かな曲が登場するのですが、これがまたすてきな曲。


Andres Cardenes plays Previn - Two Little Serenades - 2. Naava

主人公の女の子はこの曲を、It's a perfect song for a little girl. (小さな女の子にこれ以上ないぴったりな歌)と表現しています。12歳なのに、こんな曲をさらりと弾けるんだから、すごいなぁ、ヴァイオリンを弾けて楽しいだろうなぁと思います。

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また、物語のところどころに、こんなふうに楽譜(女の子が練習しているモーツァルトのコンチェルト)が入るのが、雰囲気があって楽しいのです。

 今回読んだのは、実は3回目なのですが、細かいストーリーは、覚えていたのが半分、忘れていたのが半分、というところ。

でも、とってもチャーミングな最後はすごくよく覚えていて、この最後を読むためだけでも、この1冊を読む価値はあると思うのです。

ヤングアダルトなので、英語はそう難しくありません。今は、キンドルもあるようです。

 

フィリップ・プルマン 新作 ”The Secret Commonwealth” 登場

気づかないうちに、フィリップ・プルマンのBook of Dust(ダストの本)の続編、“The Secret Commonwealth” が発売になっていた。

 前巻の “La Belle Sauvage” は読んでいるので、続きは読みたい…と思いつつ、kindle版で、ペーパーバック版を超える値段(2000円超)だったので、サンプルだけダウンロードして、しばらく待つことにする。何しろ1巻目のkindle版は250円(!)になっている。

このBook of Dust は、日本語の翻訳もでた「ライラの冒険シリーズ」の一部で(日本語で出たのは最初の3作のみ)、このライラの冒険シリーズは大好きなのだが(特に2巻目『神秘の短剣』が好き)、日本語版はハードカバーも文庫も絶版になっているようで、kindle版もないので、すごくおもしろいファンタジー作品なのに、今後(また映画とかになって、話題になって、本を新しく刷らないかぎりは)、昔のわたしのように、偶然手にして、読んで、はまって…なんていう読者は出てこないんだろうな…と思うと、非常にもったいないなあと思う。フィリップ・プルマン、とてもおもしろいのに…。

ライラの冒険」の2巻の『神秘の短剣」では、読みつつ泣きそうになってしまったところがあるし、(翻訳版がなかったので)英語で読んだサリー・ロックハートシリーズの、やはり2巻目の “The Shadow in the North”でも、泣きそうになった。

まったくの物語、つまりウソの話が、現実の涙を流させるなんて…! それだけ物語として、力があるのだと思う(世間では、よく本を読んで、「泣きました!」とか、「号泣した!」とかあるけれど、あれって本当なのかな…。わたしは、本を読んで泣くことはほとんどない)。

と書きつつ、前巻の“La Belle Sauvage” は、手放しでおもしろいとはいえない、ちょっとヘンな話だった。途中、超・偏執的なキモチのよくない人物が出てきて、出てくるだけでなく、その人物がストーリーの中で重要な役割を担い、主役の少年に「これでもか」というくらいに災難がふりかかるので、読みつつ、かなりつらく、しんどくなってしまった。その人物にも裏がありそうで、しかし、その話の中では解き明かされなかったので、2巻目でなんらかの展開があるのか…。

というわけで、サンプルの巻頭を読みつつ(ちょっとだけなんだろうな…)、価格が下がるのを待とうと思う。

意外に牧歌的だった:松本清張「点と線」読了!

 初、松本清張

小難しいのでは、と思っていたが杞憂。するする読めた。

「点と線」といえば松本清張の代表作で、映像化も何度かされている。わたしも、きちんと見たことはないものの、駅のホームでビートたけしがベージュ色のトレンチコートを着て(←まったくの記憶違いかもしれない)、たたずんでいるシーンを思い出す。

まさに、この駅のシーンが物語のキーになっていて、読みながら「ああ、これこれ」と思った。有名な観光地を訪れて、ネットで見ていたモニュメントを実際に目にしたときのような気持ち。

ミステリーという意味では、今時のミステリーを読んでいる身からすると、少々物足りなかった。あやしい人物は最初からあやしいし、アリバイ崩しに悩む主人公の警視庁の警部補は、わたしが「ちょっとちょっと!」とつっこみたくなるくらい、ネジが抜けている。

そして、勝手に泥くさーい、しんどーい、感じの物語展開を想像していたのだが、意外や意外、なんだか牧歌的だった。まさか、初・清張の感想が「牧歌的」とは予想もしていなかった。自殺案件に納得できず一人で調べる主人公に上司は特に嫌な顔もせず(というかむしろ応援してくれ)、所轄の刑事との関係も良好、煮詰まると喫茶店でコーヒーを飲んだりする。確かに、電車での長距離移動はおしりがいたくなって大変そうだが(普通の特急が夜行電車になっていた時代なんだな…)、まあそれくらいである。怒鳴り散らす人も出てこないし、いやみな人も、精神的に病んでいる人も出てこない。スプラッタもなし。

地方の所轄とのやりとりは、なんと!「電報」。調べてもらいたいことを電報で打っておいて、いろいろ外で仕事を済ませ、机に戻ってくると、電報が返ってきている、というシステム。すごい。こんなの「太陽にほえろ」でも見たことないよ、いくらなんでも電話くらいあるでしょ、と思ったが(いや「太陽にほえろ」も、すべてちゃんと見たわけではないが)、固定電話の時代だと、お互いが同時にそれぞれの電話の前にいる必要があるわけで、相手の都合を考えなくてよい「電報」は、いわばメールのような役割を果たしたのだろう。

そして、最も印象に残ったのは、終盤の主人公の警部補と所轄の刑事の手紙のやりとり。超・長文!! あいさつから始まって、あれやこれや、と、謙遜しつつ、相手を立てつつ、大切なことも書き、いいたいことも書く。そして、またあれこれ謙遜しつつ、相手を立てつつ、しめくくる。いやはや、こんな手紙、もう現代人は書けないよ…。

もちろん、これを書いたのは、どこぞやの刑事ではなく、松本清張だとわかっているが、それでも、刑事がそういう長文の手紙を書くというリアリティがあった時代なのだろう。

(↑)ちょっと表紙が怖すぎ…。

’19年聴講しているNHKラジオ語学講座

もう7月(に入ってからしばらく経つ…)、というこのタイミングでの、NHKラジオ講座聴講ラインナップ。

今年度は、イタリア語は「まいにちイタリア語入門編」、英語は「基礎英語3」と、「英会話タイムトライアル」「ラジオ英会話」「遠山顕の英会話楽習」の4本。なんだかけっこう、多い。けれど、まあまあ聞いている。

1年半ほど前から、メインで聞いている「基礎英語3」のみ、ストリーミングの1週間遅れのものを聞き、ほかは、NHKラジオアプリの「らじる★らじる」で、放送日のものをそのまま聞いている。これだけちゃんと(まあ、いい加減にだけれど)継続できているのは、「らじる★らじる」に予約機能があって、番組の5分前になると毎回律儀にアラームを鳴らしてくれるから。仕事をしていようと、ネットで暇つぶしをしていようと、時間になると、キンコンカンコンキンコンカンコーン♪ と鳴って「あ、もうそんな時間…」と、ハッとする。

しかし、この5分前というのがけっこう微妙で「オーケー5分後ね」と思っていると、そのままうっかり忘れてしまったりする(5分前の時点でラジオをオンにするのは、特に聞きたくもない音を聞くことになるので、自分の選択肢の中にはない)。何回か(も?)聞きそびれたあと、確実に聞くためには、予約のアラームが鳴った時点で「5分」のタイマーをかけるのが吉、ということになった。

どの講座もそれぞれ魅力がある。「英会話タイムトライアル」は、10分という短い時間内に、発語をたくさんするしかけになっているので、密度が濃くていい。これは、ほぼ1日2回聞いている。

遠山顕先生の講座は、昔、好きで聞いていて、今年、復活してみたけれど、やっぱり面白い。講座内に「えーしゃくぶーん」という英作文のコーナーがあって、ここを時間内に真面目に取り組んだら、絶対力がつくと思うのに、ついつい流してしまうのが反省点。

大西先生の「ラジオ英会話」は、大西先生が、たびたび「スキットの英文は全部覚えてくださいね」というので「ひえー、すごいスパルタ」と思っている。確かに、例文を全部覚えていたら、1年でものすごく力がつくと思う(スキット、日替わりだし)。聞いている人の、どれくらいが暗記にトライしているかなぁ(やっている人)すごいなぁ、と思うものの、わたしはハナから自分にそこまで求めていない。大西先生は著書の「一億人の英文法」でも、「これくらい1週間で読破してください」みたいなことを前書きで書いてあって、「ひえー」と思ったので、わたしの中ではスパルタ決定。でも、まあ、本気で英語をマスターしたかったら、それくらいすべきなのかもしれないけれど。

(↓)ボリュームある本なのに…! 1週間で読了…できない…。

 「基礎英語3」は、NHK語学のストリーミングで聞いていて、継続していると、少しずつトロフィーがたまっていくしかけになっている。これが何気にうれしい。

中学生のころ、基礎英語を聞いていて、そのころはAMラジオをいっしょうけんめい合わせていたけれど、音が悪くてつらかった…。今は音がキレイなだけでも万々歳なのに、いろいろ至れりつくせり。ほんと、すごい時代だよ、と思う。

多忙なときはヒマを切望するが、いざヒマになるとまったく有意義に活用できない、そしてまた多忙になる

本日は打ち合わせで外出。久々に、会社(ヨソさまのだけれど)なるものに行った。6月は、ほとんど仕事をしなかった。フリーランスなので、仕事が入らないと、仕事はなくなる。

昨年末から4月にかけては忙しかった。週末も気持ちよく遊べることは少なく、常に締め切りのことが頭の片隅にあり、風呂に浸かりながらも、あれやこれやうんうん考える、というような生活だった。

忙しいときに限って、(フリーランスの不安定な収入を補うために受けている)英文校正の仕事も入る。英語の仕事は、正直、実力不足だから、ミスを出さないために、かなりの時間をかける。時給換算すると、おそらくすごいことになっているが、心身の健康のために計算はしない。

「あー、時間がほしい…!」と、忙しいときには思うのだが、いざ仕事が途切れてヒマになると、あれだけ望んでいたはずの自由時間をうまく使いこなせない。どういうわけか、英文校正の仕事もパッタリ入らなくなる。

そして、仕事が入らないというのは、人を落ち着かない気持ちにさせる。せっかく平日にヒマなのだから、あちこち出かければいいのに、外出先は、近くのスーパーか生協くらいだ。忙しいときは、さんざん、「空いている美術展に行きたい!」とか、「動物園で動物の足の写真(資料用)を撮りたい!」とか思っているくせに、時間ができるとめっきりインドア派になる。

日中は、せっせとkindleの無料サンプルをDLしては、次に「どれを買うべきか…」と悩む。kindleが登場してから、やたら読みたい本が増えた。しかし、仕事をしていない状態では、欲しいもの全てをパーッと大人買い…という豪快な気分にもなれない(小心者なのだ)。だいたい読んでいない本、まだいっぱいあるのでは…? と、しまり屋な自分が、購入意欲にギュウギュウ、ブレーキをかける。

そうして、本を読んだり、洗濯をしたり、部屋の片づけをしたり(桐ダンスを処分した!)して、6月を消費。

そして、ここ数日で、また7月以降の仕事が入り始めた。仕事が入るときは、どういうわけかスケジュールが重なる。なぜ?? 売れっ子でもないのに、「すみません、既に別件が入っておりまして…モゴモゴ」と、売れっ子のような返事をしなくてはいけなくなる。本当になぜ!?

 

超・久々に神保町に行ったら、都営線の駅構内が模様替え。本の街っぽい演出になっていた。

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ダン・ブラウン「インフェルノ」読了

ダン・ブラウンの「インフェルノ」上・中・下。

本を読むのに「今更ながら」ということもないのだが、シリーズの次作(「オリジン」上・中・下)が既に1年近く前に出ているというこのタイミングで、ようやく読むことができた。

上巻を読んでいるあたりでは、筋があまりにも単純なように感じ、かつ、あと2巻もあるのに、どうやって話を引っ張るのだろうと、いらぬ心配をしてしまったのだが、本当にいらぬ心配だった。

後半、誰がどの組織の人物なのかだんだん混乱してきて、ページをもどって確認したほうがいいと思いつつ、先を知りたい気持ちがまさって、そのまま読み切ってしまった。

今回のテーマは「人口爆発」。物語が教えてくれるまでもなく、現代文明が直面する進行形の大ピンチなのだが、読書中も読後も、あまり切迫感をもって、このテーマについて考えられなかったのは、日本が人口爆発どころか人口減少のピンチに陥っているからだろう。わたしだけでなくおそらく大多数の人が、自己中であり、ほとんど目の前のことしか考えていない。そうして問題はいつまでも解決されず、進行していくというわけだ。どんな問題にしても。物語中の科学者が憤るのも無理ない。

ダン・ブラウンのおもしろさは、歴史的な芸術作品や世界遺産的な建築物などが次々と登場し、現代的なテーマの謎解きと絡んで、絢爛豪華な絵巻物のようになっているところだろう。数々の薀蓄に接するたびに、かくされた秘密を知ったような、たいそうな気分になってしまう。

ハリスツイードロゴマーク「13個のボタン状の宝石で飾られたマルタ十字をいただいた伝統的宝珠マーク」という記述は、思わず読みながらメモをとってしまった。

日本にも、こういう歴史と文化をうまく融合させたエンターテインメント小説があればいいのに、と思う。古い寺や神社にしろ、仏像にしろ、日本美術にしろ、ほとんど何も知らない。自分の国の文化なのにあまりにも知らな過ぎて、それが謎なぐらいだ。京都や奈良に行っても「ただ巡っているだけ」になっているのが、我ながらもったいないと思う。